コロナ禍         v5-23

 今年に入ってもう5ヶ月余りずっと「コロナ禍」の生活が続い
ている。時々、自粛気分を紛らわすために遠出をすることもある
が、せいぜい昭和記念公園あたりまでである。

とはいえ6月下旬ごろ思い切って渋谷へ出かけてみた。賑わう
スクランブル交差点をドキドキしながら渡り、久しぶりに友人に
会った。友人が選んだカフェはひっそりとしていた。
感染防止策も満点とは言えなかったがまずまずだった。

7月になって週一回、今までのように吉祥寺まで出かけることに
したが、それも目的地と我が家を結ぶ最短距離の移動だけである。
用事が済むとわき目も振らず自宅へ直行という有様だ。



そんな中、東京の新型コロナの感染者数は落ち着くどころか益々
増大している。数だけみて騒がないようにという有識者もいる
ようだが、一般市民にとっては数だけが状況を把握する唯一の
手段である。

国や自治体のリーダーたちは「緊張感を持って注視している…」
などと相変わらず同じ言葉を繰り返すだけで具体的、効果的な
防止策は一向に示さない。それどころか時々国と自治体の呼び
かけが真逆になることがある。
例えば国は「しっかり感染予防して出かけて下さい…」などと
レジャーを推奨するが、自治体の長は「出来るだけ出かけないで、
出来たら外出は止めて欲しい…」などと言う。
同時にその言葉に出会った国民は唯々困惑するばかりだ。



そういえば昔から世界に広く吹聴されていた言葉があった。
つまり「日本は政治家は三流だが、国民は一流である」。
この言葉は恥ずかしながら現在でも脈々と生き続けているようだ。
そのように優秀なる国民は相変わらずせっせと自粛の努力を続け
ている。その努力が報われる日が来るだろうか。
現状を見る限りとても明るい希望は持てそうもない。むしろ多く
の日本人は心の片隅でコロナ退治のカリスマ的スーパースターの
出現を待ち望んでいるのではなかろうか。

何とかしないと…このままでは一流と言われる日本国民への
誉め言葉も返上する羽目になってしまうかもしれない。
                2020年7月

         (photo by y.y:玉川上水にて)

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