魚調理  V5-07

T
さんがご主人さんと一緒に釣りたての魚を届けてくれた。
ご夫婦で茅ケ崎方面へ釣りに行ってきたそうだ。
生きのいいイナダを2匹も置いていった。
Tさん夫婦は魚釣りが趣味である。威勢のいい魚をいただく
のはこれで2度目、とはいえ私は魚をさばくことが出来ないので
外出中の夫が帰宅するのをひたすら待った。

そんなわけでその日のメインメニューはイナダ料理となった。
夫の出番である。夫は「血抜きがしてある。さすが」などと
感心しながら手際よく魚を塩焼き用に調理した。
残りは煮魚にして翌日食べることにした。
一瞬、刺身もいいのでは、と迷ったが何となく煮たり焼いたり
する定番料理になってしまった。とはいえ、味は格段に違う。
新鮮な魚の味を久しぶりに思い出した。



礼を兼ねてTさんにメールした。
ついでにTさん家のイナダ料理を聞くとこんな感じであった…
「竜田揚げ」「塩焼き」「カマ焼き」「お刺身」「中落ち」…
Tさんのご主人が腕を振るったらしい。
それにしても凄い!一つとして無駄のない調理である。
釣られた魚もさぞ満足していることだろう。
「まさにプロ並みね、同じ魚でも我が家とは大違い!」などと
返信したらTさんから再びメールがきた。

「本当のプロはこんな感じです…」と言って写真が添付されて
きた。シンプルな角皿に大葉、その上に円形に盛り付けられた
さしみ、隙間にはカイワレ、茗荷の細切り、ワサビなどが品よく
置かれている。見ただけで食欲をそそられそうだ。
この調理主はご近所に住む知りあいの方だそうだ。勤務先は
「すしざんまい」というから正にプロの方だった。



それにしてもTさんのご主人もなかなかのものである。
釣り上げた魚をことごとく味わい尽くしてあげることが、
魚に対する礼儀だと心得ているようにみえる。
それに比べて我が家にやって来た魚はちょっと可哀そうだった。
この次は我が家のシェフにもっと腕を振るってもらうことに
しよう。おっとその前に太公望に頑張ってもらわないと…。

   2019年9月
 (photo by k.y:日本民家園にて)
 


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