数字遊び    v5-71

 最近読んだ本(「かなしぃ」蓮見圭一著・新潮文庫)で
ふと目に留まったページがあった。それは暗算上手な登場
人物の話である。
その内容を下記にかいつまんで記してみると…。

 …25人が参加した慰労会が終わると店の人が来て請求書を
テーブルの上に置いた。そこには合計265,000円と書いて
あった。それを見たAさんが反射的に暗算して
Wお一人1万600円です”と言った。どう計算したかと作者は
驚いたそうだ。以下はそのAさんが説明した計算方法である。



…265,000円を25で割るのは面倒くさい。
そこで25は100の4分の1なので0を二つ取ってから4倍する
といい。しかし2,650円に4を掛けるのは面倒、そこで
2,650を倍にして5,300にして2を掛けた方が簡単。
よって答えは10,600円となる…

成程である。私だったら早速、計算機の出番になる
ところであるが、世の中には頭の中で簡単に数字を
操作出来る人がいるようだ。ついでに文中のAさんが
言っていた数字の面白い性質?も記してみると…

…まず数字を思い浮かべる。
その数字が奇数だったら3倍して、それに1をプラスする。
偶数だったら2で割る。それを繰り返していくと最後は
必ず1になる、というお話。数式を書いて説明すると…

例えば17から始める。17は奇数だから3倍して51になる。
奇数になったから1をプラスして52になる。これは偶数
だから2で割って26、さらに偶数だから2で割り13、
奇数だから3をかけて1をプラスして40。偶数だから2で
割り20。偶数だから2で割り10、これも2で割り5になる。
奇数だから3倍して1を足し16。これを2で割ると8、
さらに2で割って4。これを2で割ると2になり最後は
2÷2=1となる。



別の数字で試してみた。
例えば35から始めてみると、やはり最後は20÷2=10 
10÷2=5,5×3=15、15+1=16,16÷2=8、
8÷2=4,4÷2=2,2÷2=1 となった。
これにはきちんと証明出来る数式があるに違いない。
しかし、これが何で面白いの?何の役に立つ数字なの?
と問われれば答えに窮する。もしかしたら面白いと
感嘆しているのは私だけかもしれない。
最も私が好きなのはこの程度の数字遊びである。

そこでナンプレ(数独)の出番である。これは中毒になる
からやめた方がいいと以前エッセイに書いたことがあるが、
実を言うと私は未だにこの魔力から抜け出せないでいる。
最近、悔しいのは解答に要する時間が長くなってしまった
ことだ。しかし、このような難問を作成する人たちには
尊敬の念を禁じ得ない。可能ならば私も出題者側になって
みたいものだが…。
それこそ無理、世間の人はそれを無理難題と言うようだ。
     
       2024年4月
 (photo by y.y: 東京都薬用植物園にて)